大人になり、会社を辞め、個人事務所で活動を始めたとき、時間があるときは近くのレンタルレコードやレンタルビデオのショップに行き、時間つぶしになるものを探していました。そこでこの「ミクロの決死圏」を見つけ、懐かしくなり、ビデオを借りて見ていました。テレビで見た時とはかなり異なる感覚です。そしてあるシーンで機器が動かなくなるのですが、その原因を探っていて、「真空管が切れている!」というシーンが出てきました。最初にテレビで見たのが中学のころだったので、そのころは真空管だったなぁ、と思い出していました。でも、おそらく真空管は交換しなければならないのだけれども、交換したんだっけ、とか思い出していました。
...あれから40年、ではないけれど、今、このコラムを書くにあたって、あらためてミクロの決死圏を探し、結局、DVDを購入し、何度も見直したけれど、「真空管が切れている」というシーンが出てこない。おかしい。いろいろ調べると、DVDが2010年制作、原版は1968年制作であり、DVD用に創り直した感じです。いろいろ整理すると、最初に出てきたときはアナログビデオの時代、真空管が普通だったころです。日本ではすべてがトランジスタというテレビは1970年のようです。一部だけトランジスタというのはもっと前から出ていますが、トランジスタは出力が弱いために、例えばスピーカーの増幅回路だとトランジスタを6~7個、直列で使うとかになり、真空管1個にした方が消費電力が低い場合があります。そのため、パワーのあるトランジスタが普通に使えるようになったのは1970年以降かもしれません。
この「ミクロの決死圏」の最初のころのビデオはまだトランジスタが普及していなかったため、分かりやすくするために「真空管が切れている」と日本語訳にしたのかもしれません。分かりやすいです。でも2010年のDVD版ではそのまま訳し、「トランジスタが壊れている」になったと思われます。ただその修理方法として、手術道具のメスとかを使って交換するという、なんと驚きの修理の仕方です。トランジスタといってもいろんな種類があり、どれでも合うわけではないのに。実際にはハンダごてを使わないと、修理できないでしょ、と突っ込みたくなります。でも当時はこれで通用したんでしょうね。
そうはいっても、Apollo1~Apollo10までは真空管を使っていた可能性があります。宇宙船に使えますかね。発射時の振動が激しいと真空管はソケットから抜けたりすることが多く、破損もしやすくなります。またその電源回路もものすごい量の電源回路が必要です。その後のトランジスタの時代でも、100Vのパソコン用の充電器でも数時間しかもちませんでした。1日もつのは2000年以降だと思います。ましてや真空管用の機器だと、充電器はほぼ不可能です。またアメリカの電源部は200/220V仕様です。
というようなことを考えたとき、1969年の「Apollo11」は本当に月にまで行って、着陸できたんだろうか。仮に、1個でも真空管が使われていたとしたら、その電源はどうやって確保できたのか。こうやって電子技術の観点からみても、Apollo11は本当に月に行って、着陸し、戻ってこれたんだろうか。とってもとってもとっても不思議です。といっても、アメリカのつくった芝居というのはもう暗黙の事実なんだろうけれど。アメリカって、すごいなぁ。